2 空港定期便拡充促進事業費
平成27年3月22日(日)
本日は、以下に平成27年度予算の「空港定期便拡充促進事業費」を紹介します。
この予算は空港のため、そのほとんどが「富士山静岡空港利用促進協議会」なる自称民間団体のトンネル団体を通じて税金をばらまくシステムが特徴です。
このようなトンネル団体を介することで、活動支援名目で税金がその団体の人件費などにも使われているにも関わらず、これら多額の補助金が実際どのように費消されたのかを県民はチェックできなくなるのです。
項目だけの集計をした実績報告書は公文書ですが、その元となった支出証拠書類は公文書ではないのですから。
加えて、こういう税金で養える外郭団体を作ることは、ご存じのとおり役人にとっては成果なのですから。
さて、この最大の支出である2億5,736万円に及ぶ「富士山静岡空港利用促進協議会」への補助金ですが、予算説明書では以下のとおり説明されています。
教育旅行を除くすべての項目で増加しています。
特に、昨年度1番の活動支援費も7,400万円にまで増加していますが、チャーター便支援費は倍以上に増額され8,190万円にまで及んで1番大きな使途となっています。
これが、1便当たり100万円という補助金で、主に中国からのチャーター便誘致に使われているものです。
なお、このチャーター便には予算系統の異なる、つまり、空港振興局の予算ではない観光振興課の予算も重ねて投じられています。
というのは、以下のとおり、これは観光振興課の「海外誘客推進事業費」の予算資料の一部ですが、現地旅行社の旅行商品広告の支援や、中国などからのツアーが来たときにその使用するバスにも支援するというものまで用意されているからです。
元の「富士山静岡空港利用促進協議会」への補助金に戻りますが、ビジネス利用の促進にも1人2〜4千円の航空運賃補助金が利用者に支給されます。これもまた、前回紹介の利用者一人当たりに県が税金で負担(補助)する金額は6,400円を見込んだ
「空港アクセス向上事業費」と対象が重なるのです。往復利用すれば倍となりますから決して少額とは言えないものです。
ここまでして、よその空港からの利用者を誘導する大義とは何なのでしょうか。
県は事業の必要性について、以下のとおり説明しています。
空港間競争が激しくなる中で税金を投じて利用者の確保が必要だと、それによって経済波及効果が生まれると。
ここでも、役人の「経済波及効果」信仰が表れています。
何度も言いますが、経済波及効果は税金を投じれば投じるほどその額よりも大きくなるもので、費用対効果で言うところの効果(便益)とは別物です。
例えば、無意味に穴を掘って埋め戻しても、その事業の経済波及効果は投じた工事費よりも多くなりますが、便益の向上は生じませんので費用対効果で言うとことの効果はゼロに過ぎません。
経済波及効果は県民をだますための方便だと言うことをまずはしっかり認識しておくことが重要です。(静岡空港の経済波及効果についての詳細は、
2014/7/4「静岡空港県内経済波及効果(4年間)、積算根拠非開示のままで発表の欺瞞」及び
2014/11/13「静岡空港利用者の推移(開港6年目5か月)中の<経済波及効果追記>)
もっとも、自称経済学者の
川勝ですら役人の詭弁には簡単にだまされるのですから、無理もないとも言えますが、県民にあっては、もしこの状況を打開すべきと思うのなら、まずは知事以上に賢くならなければならないのです。
ただし、悪にとってもっとも都合のいいことは我々が何もしないことです。また、悪と知ってこれを傍観することは悪に与することと同意です。それら必然を覚悟した上で学ぶことも肝要です。
なお、本事業の予算調書のPDF版はこちら
http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/html/20150322.pdfです。