県政オンブズマン静岡 〜静岡県庁の光と闇〜

空港政策課職員のラスベガス広報出張


平成27年7月3日(日)

県政オンブズマン静岡では、毎年、使途が議会や県民から見えない、役所が自由に使途を決められる予算である部局調整費について、抽出して調査しています。(http://www.omb-shizu.sakura.ne.jp/kiroku003b.html
かつて、違法な支出を行った京極仁志に対する住民監査請求の対象となった事業の財源も、この部局調整費です。
特に空港関係は重点的に調べていますが、
今回、文化・観光部の部局調整費の使途の中から、空港政策課職員による当初予算審査外の事業だったこともあり、「ビジネスジェット機利用拡大事業」について、公文書開示請求を行ったところ、これがラスベガスで3泊のパンフレット配りや名刺交換が目的の出張で、以下のとおり、費用対効果に大いに疑問のある実態を把握しましたので、これを公表します。

まず、以下が、県がインターネットで公表している旅費の明細です。
出発日  帰着日  職 氏名  金額  用務  用務先(着地)
11月16日 11月21日 課長代理 都築直哉 281,384 全米ビジネス航空協会展示会における広報活動
移動(仁川、ロサンゼルス)→全米ビジネス航空協会展示会→移動(ロサンゼルス、仁川)→富士山静岡空港(牧之原市)
11月16日 11月21日 班長 今井真人 274,050 全米ビジネス航空協会展示会における広報活動
島田(島田市)→富士山静岡空港(牧之原市)→移動(仁川、ロサンゼルス)→全米ビジネス航空協会展示会→移動(ロサンゼルス、仁川)→富士山静岡空港(牧之原市)

しかし、この公表旅費からはうかがい知れない旅行の実相が判明しました。

事業名から分からない海外出張と用務地ラスベガスを隠す旅費公開

今回(平成27年度)、「ビジネスジェット機利用拡大事業」と称して部局調整費事業を使い旅行したのは、空港政策課の職員2名です。

この「ビジネスジェット機利用拡大事業」という文言からは、これが海外旅行であることは分かりませんが、以下のように、事業企画段階の公文書を開示請求して初めてこれがどのような事業であるか分かります。(注:事業費2,000千円とありますが、最終的な総事業費は161万3千円です。)



そして、その旅費に関する計算書は以下のとおりです。

まず、今井真人の例により、この旅費計算書の見方から説明します。

旅費計算書の上段の表は、国内旅行に関するもので、
まず、11月16日に、墨塗にされている自宅から富士山静岡空港に直行し同空港から出国したことがわかります。(別書類から、12:30静岡空港出発便と判明)
一方、帰りの11月21日は、富士山静岡空港に到着後、帰宅したことがわかります。(別書類から、11:35静岡空港到着便と判明)

旅費計算書の2表目は日ごとの用務先、宿泊地、日当の額、宿泊料です。
・日当は県の条例で定められた定額で、昼食代や電話代などの名目で支給されるものですが使途は全く自由で、報告の必要もなく、使わなくても返金の必要もありません。現実には毎日支給されるお小遣いと言っていいでしょう。合計で29,800円支給されています。
・宿泊料(食事代含む)は、県の条例で定められた定額です。3泊分で合計48,300円が支給されています。

なお、公表されている旅費では仁川、ロサンゼルス経由となっていますが、この計算書からは不明で、航空券の半券でそれが事実と分かります。
しかし、主たる用務先であるラスベガスは公表されている旅費の用務先では用務名「全米ビジネス航空協会展示会における広報活動」中の展示会名にすり替わっています。用務先は地名を入れるのが通例で、意図的な隠蔽と思われても仕方ない行為です。やましいことがなければ、隠すべきではないでしょう。




公費で認められた5年パスポートではなく10年パスポートを取得

次に、もう一人の旅行者である都築直哉の旅行計算書を見てみましょう。



ここで注目すべきは旅行雑費の欄です。
今井真人より11,000円多いことが分かります。
旅行雑費とは、旅券(パスポート)の取得費用やビザ取得費用、外貨交換手数料などですが、この差11,000円はまさにパスポートの取得費用です。(以下の請求書の下方の手書き文字にも旅券11,000の記載あり)



そして、この旅券(パスポート)ですが、以前に県との間でこのような質疑がなされています。(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/703.html
当方からの質問 県は現在、旅券(パスポート)取得費用を公費で支出していますが、一度限りの旅券があった当時なら理解できますが、国家公務員と異なり県職員においては現在は最低でも5年間有効な旅券が交付されるものであって、個人の私的使用も可能であり、自動車運転免許同様私的に費用負担し取得すべきものと考えますが、知事はどのように考えていますか。
県からの回答 外国旅行における旅券の交付手数料につきましては、旅費条例に基づき、外国への出張に伴う経費としてその実費額を支給することとし、有効期限が最短である5年間の旅券取得に係る交付手数料を支給しております。
これは、職員が出張するために要した費用について、予防注射料、査証手数料等と同様、外国旅行に係る必要最小限の経費の一つであるとの考えに基づいて支給しているものです。

つまり、当該公務に必要とされる最低限のものを取得するための費用であるから公費で負担するというものです。
ちなみに、5年旅券の取得費用は11,000円ですから、旅費を一見すると問題のないようにも見えます。

ところが、実際取得した旅券の有効期間は以下のとおり10年のものなのです。
ちなみに、10年旅券の取得費用は16,000円です。

つまり、彼(都築直哉)は、私的な動機に基づく過大な有効期間5年分を、公費が出る機会を幸いとして、5千円の追加自己負担で得たということになります。

これは、知事が公務のついでに私的要件を1日費やすのと同様で、公費(税金)負担額は増えるわけではありませんが、公費で旅券取得するついでに、より自分にメリットのあるものをという、あまりにせこい公私混同です。

上が上なら、下も下ということなのでしょう。公私の分別がなくなっています。




さらに、これです。
支払をクレジットカードで行っています。
もちろんポイントは個人に帰属するもので、公費で利得を得る構造になっています。
違法ではありませんが、いかがなものでしょう。


総括〜復命書に見る事業の成果〜

このページの冒頭、県がインターネットで公開している旅費の全容を示しましたが、もう一度見てみましょう。

出発日  帰着日  職 氏名  金額  用務  用務先(着地)
11月16日 11月21日 課長代理 都築直哉 281,384 全米ビジネス航空協会展示会における広報活動
移動(仁川、ロサンゼルス)→全米ビジネス航空協会展示会→移動(ロサンゼルス、仁川)→富士山静岡空港(牧之原市)
11月16日 11月21日 班長 今井真人 274,050 全米ビジネス航空協会展示会における広報活動
島田(島田市)→富士山静岡空港(牧之原市)→移動(仁川、ロサンゼルス)→全米ビジネス航空協会展示会→移動(ロサンゼルス、仁川)→富士山静岡空港(牧之原市)

さきに示した事業調書のとおり、事業の目的はラスベガスで開催の全米ビジネス航空協会年次総会・展示会において日本ビジネス航空協会のブース内でのパンフレット配りによる広報により空港の認知度を高めること。

そして、その成果が、以下の復命書です。
事業費161万3千円をかけた実質3日間のラスベガス滞在広報として、その成果は十分でしょうか。
個人的にはこの程度のものなら言語達者な在米の者などに委託した方が安上がりでより効果があったように思います。