県政オンブズマン静岡 〜静岡県庁の光と闇〜

沼津高架化問題に見る、川勝平太、その人となり


平成29年6月25日(日)

3期目に突入した川勝県政。
しかし、浜岡再稼働が危惧された前回選挙では再稼働の心配のない唯一の現実的選択として自民党支持候補相手にトリプルスコアに近い得票を持って県政史上最高得票数を記録したものの、今回は原発再稼働に積極的な自民党が候補を出さず、結果、無名に近い対立候補相手に思うように票差をつけられず、現職候補としては実績が信任されたと言うにはほど遠い結果となった。

そこで、これからの4年間を託す川勝平太の人となりをよく知っておくために、このたび入手した沼津駅周辺鉄道高架化問題に関する県の内部文書をここに公開し、解説する。

<マッチポンプ(偽善的自作自演)の実態>
注目は2ページ目の中程。
これまでに反対派住民にもアピールしていた渋滞は緩和しているから高架化は不要で貨物駅移転は不要と読める認識を示した上で、JR貨物側が新貨物駅が欲しいと分かると一転、自分が提起した反対理由を反故にできる案を自ら提示し、自分が解決してあげるんだ感謝しろとばかりの物言い。
知事は表向きは社長との会談で考え方を改め推進に転じたとされていたが、実態は自作自演のマッチポンプだったことがよく分かるのである。

さらに、その理由はお得意の「防災」
難しい問題には、災害時のいざというときのためだと言えば反対できないだろうという硬直した信仰が見て取れるのである。

また、3ページ目の最後以降を見ると正確な情報をありのまま出して議論に資するという中立公正さを無視した欺瞞的手法が語られているのである。

最後には地権者にご褒美として「展望台」を作ってあげるんだと、まるで子ども扱い。

この御仁には政治とは駆け引き、ゲーム、だましあいとしか写っていないのではないか。
信頼に基づきともに築き上げる社会よりも、一段高いところから自らがコントロールする社会が彼の目指すところではないのか。
それに従順でない静岡市のようなものは潰して自身が統治するなどという構想もそこから来ているのではないのか。
さらには、県民の期待を裏切り、またもマッチポンプの言い訳で原発再稼働に舵を切らないか。
次期知事を後継指名しての院政の目論見も見え隠れする中、これからの4年間は特に注視していかなければならない。

<全文(一部個人名は消去)>










B 8/29のJR貨物田村社長との面会
(知事)(8/11の)視察の案内をしてくれた神立(かんだつ)さん(JR貨物取締役関西支社長)への御礼を言った。神立さんに案内してもらった神戸と吹田の貨物駅では、素晴らしい地域貢献をしていると・・・。神戸では(すぐ近くに)マンションも建っていた。(貨物駅は)迷惑施設どころか公園もあり、静かだと。当初吹田へは、(梅田貨物駅の取扱量の総てである)200万dを持っていく予定であったが、地元の反対により百済(くだら・貨物駅)と100万dずつになったので、土地が空いて緑地をつくられた。それを神立さんは非常に自慢していた。
神立さんには、嘘をついたということで「大橋(JR貨物専務取締役)は、けしからん」という話をした。なぜ(沼津貨物駅が)必要なのかわからないと。(取扱貨物量は)減少傾向であり、これでは必要だと言えないと。
南北の通路について原町(原地区)は、(鉄道沿いに)フェンスをされて怒っているので、(立体横断施設を整備して自由に往来ができるように)もとに戻したい。そこから始める。
一方沼津は、南北通路が必要なのは明白である。ただし、往来は「車」と「人」の2つある。重要なのは「人」だと思っている。私には(車の)渋滞は緩和している認識がある。(東駿河湾環状道路の開通後)三島の渋滞はなくなったが、沼津は明確な減少傾向は出ていないが、渋滞がひどいという声はあまり聞こえて来ない。したがって、南北通路だけをやる。人の自由通行だけで良いという可能性もある。(という話をしたら)その辺でちょっと相手の顔色が変わってきた。そのため(←本心を探るため?) に言ったのだが・・・。
神立さんはかつて東海支社に居たので、(日本製紙)鈴川工場(←吉原駅付近)の話をしたり、阪神淡路大震災のときの姫路の話をしたので、(私が)「あれはすごかった。」と言ったら、ようやく「そうなんです。」と返してきた。そこで私は「もうちょっと言ってください。いるじゃないですか(≒貨物駅は必要じゃあないですか)。なんでそれを言わない?」というと、「モノを運ぶには基地が要ると。沼津だと、あまり遠くにいけない」と言うので、私は「どうしてそれを、JR貨物から言わないんだ」と。
基本的に(東海道本線を通る貨物列車)93本のうち、24,25本が待ち(沼津貨物駅で停車)。60数本が通過待ち(通過)なので、通過を除けば待避線として使っている。待避は(原地区で)受け入れてもらえると言ったら、彼(社長)は「新聞で受け入れてくれた」と喜んだ。
実質(沼津貨物駅は)待避線である。姫路(貨物駅)で30数万d、吹田では100万dあるのに、沼津は10数万dなので、実質(取扱量は)ないということ。しかし、いざという時、例えば首都直下地震が起こった時には、貨物が扱えて(首都圏を)救えるということ。
そうしたら(社長は)身を乗り出してきて、「知事の言うことを整理する」と。でも、(実質的には待避線といっても、実際に)貨物の揚げ降ろしができなければ、非常時にも役に立たない。(阪神淡路大震災の時)姫路では、そこで降ろして、トラックや船で6,7割を運ぶことができた。それは姫路(貨物駅)があったからだと言ったら、(社長は)「おっしゃるとおりだ」と。それを前面に出して言ったら良いと。
(日本郵船出身の)石田会長は、シー&レール(sea&rail)を提唱している。「静岡県ではどこが良いと思うか」と言ったら、(神立が)「鈴川が良い」と言っていた。シー&レールはそこしかない。
だが、今やると混乱するのでやめた方が良い。ただ、シー&レールでやる場合を念頭に置いておいておく必要がある。鈴川を見に行った方が良いと。(鉄道駅でいうと)片浜、原、東田子の浦そして吉原。しかも(貨物)駅ができるのは、東田子の浦側だから(吉原≒田子の浦港)とは目と鼻の先だと。
物流の拠点として上手くいけば、いずれはそうしても良いのかもしれない。差し当たっては、有事のときに考えて、こちら(原地区)にコンテナの荷下ろしができるものをつくり、基本的には待避線だという形にして・・・取扱貨物量が少ないからほとんど音もしない。記者が待っているので、私が、それを言ってあげるからと。基本的には待避線だが、有事のときには、そこで首都圏を助けてあげるんだと。
そうしたら彼(社長)は私の前で、復唱した。「こういう考えはしたことがなかった。視点を変えれば良いんだ」と。
社長は記者会見でそのことを言うと思っている。そしたら私は「(JR貨物としては)有事のときに東京を助けるために、(常時は)実質的にはほとんど荷物の揚げ降ろしのない待避線がいるんだろう。それが必要なら(荷物の揚げ降ろしに必要な線路と線路の間にコンクリートを打ってつくる)コンテナヤードはお前(←JR貨物)がつくれ」と言おうと思っている。
(実際には)約束があるから・・・(県でつくらなければならないだろうが)。だが、どこかで汗をかいてもらおうと思っている。
地元は待避線までは認めている。彼らはPRが好きだから、何度も何度も言っていただいたので、「待避線まではOK」ということが既成事実になっているので、ありがといと思っている。このことはJR貨物にも伝わっているので、待避線としてつくる。しかし、有事のときに必要だと言うなら、(JR貨物も)一緒にやるべきだ。だから汗をかけと。
しかし、今それは言わない。差し当たって、待避線として使われると(言う)。(そして)有事のときには、姫路のように、日本国民を救わないといけない、そこは必要だと。それは、原地区は偉いと(持ち上げて)、待避線を軸にした形で、土地を売ってもらおう。
(副知事)実際には、JR貨物は今(の取扱貨物量)程度は使う必要がある。
(知事)そのことは大きく言わない。今、100数十社が(沼津貨物駅を)利用しているので、そこのところはわかっている。だけど本数としては(沼津貨物駅を)使っていないもの(貨物列車)も多いのだから、そこに力点を置いたら良い。待避線については地元の理解を得ているが、貨物をゼロにすることはできない。なぜかというと、(利用する貨物が?)あるからというのではなく、いざという時に必要だから。今あるものは、ほとんどないに等しいと言った方が良い。コップに3割も水が残っているというのと、3割しか残っていないというのとは(実際は)一緒。表現の違いだけ。だから、5%あるから、5%どうしても必要だと言うのと、実質5%しかないのだから95%は要らないというのと同じ。「要らない」という意見の方がわかりやすい。そこに乗ってもらいなさいと。常時はほとんど使っていないから音は出ない。だから使っていないに等しい。しかし、いざという時には、そえが力を出して国を救うんだと言った方が良い。
(面談した)1時間20分間は、講義のようだった。だからそんなところに、 (メモ役で入るはずだった) 河合さんが居たら、(社長が)気の毒。
だから、この点では、社長がここまで上手く理解してくれるとは思わなかった。
常時は待避線だけでよい。しかし、非常時に貨物が扱えるという方法をどのように考えるかといったときに、ほとんどは待避線だけど、少数とはいえ、荷物の揚げ降ろしのための施設がないと、いざというときに使えないので、それはキチンと整備する。同時に、常時揚げ降ろしをしているのは、(通過する貨物列車)100本のうち5本位しかないので、ガタゴトいって迷惑をかけることもない。私の説明できる。そう言えば良い。
私は今度ここ(9/6の桃里地区女性との意見交換会?)で(そのように)申し上げて、土地をとにかく売っていただかないと。日本のために売ってくれと。ただし、取り上げるつもりはなくて、差し替える。つまりグリーンヴィレッジをつくるということ。(貨物駅の南側など)この近辺に。だから、ここは我慢してくれと。いずれ(旅客)駅ができる可能性もあるから、まずはこれ(貨物駅)をつくって。(初めから貨物駅を吉原に持っていくと)行政単位が違う沼津市から富士市になのでややこしいので、これはこれで完結してやってしまう。ただし、鈴川(吉原)のことは念頭に置いていただきたい。このことが、シー&レールというこれからのJR貨物の新しい道を拓くことにもなり得る。物流の拠点が田子の浦に行ったときには、こちらはむしろ土地を集約した方がよいから、場合によっては(旅客)駅をつくることもあり得ますねと。将来に向けて、それを念頭に置きながらやる。これはJR貨物のためにもなるんだと。
姫路貨物駅が阪神淡路大震災のときに果たした役割を、沼津に貨物ヤードがあればできるんだと。それは(東京からみて)箱根を越えたところしかいなんだと。
社長は「たいしたもんだ」、「全く気づかなかった」と言っていた。
(副知事)外向けの言い方は別として、JR貨物には現状を保証してあげないと彼らは困る。それは大丈夫ですよと言った上で、後は言い方の問題でしょ、という調整で構わないか。
(知事)言い方の問題である。やることは変わらないが、見方を変える。ここは実質待避線だが、いざというときに必ず貨物駅が要る。そのための施設はつくっておかないといけない。ただし、言うかどうかは別として、中長期的には吉原の方が良い。それは、どこまで言うのかわからないが。これは今回の交渉とは別。今回の交渉(9/6の意見交換会)では、ともかく、待避線だと言っていただいたことで実態はそれだけだということで土地を売っていただいて、これが勝負だ。実質待避線だと今度記者会見で(社長が?)言うけど、実質待避線だということですね。
(副知事)今の沼津が最小限の利用となっていて、利用がないといざという時に使えないから、その程度です、と(いう考え方ですね)。基本は待避線。
(知事)こちらとして言えるのは、基本は待避線だと。しかし、いざというときには、どうしても必要だと。(物流面で)日本全体を預かっているJR貨物の使命は、日本のためである。日本のためにお互い協力しようではないかと。しかし、あなた方の土地を取り上げるつもりはない。正規の値段で買わせていただくことと同時に、ちゃんとグリーンヴィレッジをつくって伝統を残すと。こういうこと。ご褒美は展望台だと。
(副知事)また、JR貨物と調整をしなければならない。
(知事)したつもりです。
(副知事)今度の記者会見のときに、齟齬がないようにしなければならない。
(知事)これは、タクティクス(tactics:戦術、術策)なんです。そのところが、余り表に出ると卑しくなるが。基本的に大義名分がないといけない。その大義名分が、いざというときの姫路のように・・・。そのために、ここの基地は我々日本として必要だと、静岡県として必要だと。東北を助けたように(首都)直下型(地震のとき)も助けなくてはいけない。そういう言い方で地元の人には言う、中身は同じだ。
(9/10の)JR貨物社長の記者会見でどんな話をしたのかは、東京事務所の笹野さんに聞いてください。そこで齟齬があれば・・・?
今からが本番。買うんだ。そこで本当の義子(節義をかたく守る人物)かわかる。